未開拓科学技術の早期発見

産業として未開拓な科学技術=学術論文としては存在するが、まだ特許にはなっていない

テクノロジーイノベーションは一般に、科学(Science)、技術(Technology)、産業(Industry)の順番に知が伝搬して起こると言われています。また、人類の科学(Science)知は学術論文(Scientific Publication)として、技術(Technology)知は特許(Patent)として記述されています。従って、産業として未開拓な科学技術といのは、多くの場合、既に学術論文としては存在するが、まだ特許にはなっていないということになります。Fig. 1におけるBに該当する科学技術の候補を自動的にかつ早期に発見するための方法論を研究しています。

Fig. 1 科学(Science)と技術(Technology)の関係

Fig. 1 科学(Science)と技術(Technology)の関係

例:太陽電池(Solar Cell)

ここでは太陽電池(Solar Cell)を例に、産業として未開拓な科学技術を発見する方法について簡単に紹介します。詳細は論文をご覧ください。

はじめに、太陽電池に関係する学術論文、特許それぞれの引用ネットワークを意味的なまとまりに分類します。続いて、各まとまり間の意味的な類似度を考察し、論文群と特許群の間の対応関係を見つけます。Fig. 2が2008年時点での論文群の特許群の対応関係です。

2008年時点では、科学層では、色素増感系、ポリマー系のクラスターが若く、新興学術分野であることが分かります。他方、技術層では、主たるクラスターは、シリコン系の話題に集中しています。これらの関係を示したものがFig. 2ですが、両層のクラスターで議論されているトピックを見れば、技術層におけるクラスター#0, #1, #2はいずれも、科学層の#0に対応するものであると言えます。つまり、学術論文におけるクラスター#1(金属系)、#2(色素増感系)、#3(ポリマー系)に対応するクラスターが技術層には現れておらず、これらの領域はまだチャンスが大きい領域であると言うことができます。

Fig. 2 太陽電池分野の論文群の特許群の対応関係

Fig. 2 太陽電池分野の論文群の特許群の対応関係